秋子さん達と佐祐理さん達が出会った頃・・・空港から出てきた祐一とあゆは・・・
あゆ:「うぐぅ〜、久しぶりだね、この寒さ」
そう言って定番のダッフルコート&羽リュック、ミトンに身を包んだあゆが、4℃の風をその身に浴びている。
ちなみにここまでは、白いニット編みのセーターにタータンチェックのスカートだけだった。
祐一:「そ、そうだな・・・」
祐一もあの時と同様のコート(アニメ第1話参照)で、下にはクリーム色のトレーナーとデニム生地の黒いズボンである。
その祐一は今にも凍えてしまいそうなのだが・・・
祐一:(や、やばい・・・このままじゃ死んでしまう・・・予約しといたタクシーはまだかよ・・・ん?)
そのような所に、1台のタクシー・・・少し・・・いや、かなり乱暴な走り方だが・・・
例えるなら、この世のどんな生物でもあの動きは出来ないだろう・・・例えになってないだろうが、それほどヤバイ動きだ・・・
祐一:(お、おいおい・・・ま、まさかあれじゃないだろうな・・・!? こっちに来る!?)
祐一:「あゆっ!! 危ないっ!!」
あゆ:「へ?」
あゆが振り向いた先にはもう目の前に迫っているタクシーが・・・
あゆ:「うぐぅ〜っ!!」
祐一:「あゆ〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」
祐一は見た・・・突っ込んでくる暴走タクシー・・・その目の前の愛する少女・・・
そして・・・赤い・・・赤い・・・あゆの・・・トマトジュー・・・またですかい・・・
しかし、後に残ったのは傷1つないタクシーだけだった。
祐一:(いや・・・傷1つないって・・・あんた。 さっき見ただけでも車何台当ててきたか・・・)
祐一:「・・・って、あゆは!? あゆは何処に行ったんだっ!!」
あゆ:「うぐぅ〜、怖かったね〜祐一くん」
そう言って、あゆはタクシーの影から出てきた・・・何故かたいやきを持って・・・
祐一:「・・・な・ん・で・そんな物を持ってるんだ? そ・れ・に、なんで無事なんだ?」
あゆ:「うぐぅ・・・あの瞬間・・・」
ほんの一瞬前・・・
祐一:「あゆっ!! 危ないっ!!」
あゆ:「へ?」
・・・って振り向いたところにタクシーが来てたんだよ。
だからボクは・・・
あゆ:「うぐぅ〜っ!!」
・・・ジャンプしたんだよ。
祐一:「は?」
あゆ:「だから、ジャンプしたんだよ♪」
あゆの突拍子もない言葉に、祐一はただ口をあんぐりと開け聞き返すしかできなかった。
あゆ:「そうしたら、ジャンプしたときにたいやき屋さんが見えたから買いに行ってたんだよ♪ 祐一くんも1つどう?」
祐一:「・・・そうか・・・ま、まあ、無事だったんだし・・・良いのか・・・な・・・」
祐一はもう何も言えず、ため息を吐くのが精一杯だった。
祐一:「・・・そう言えば、タクシーまだ来ないのか・・・遅いな・・・」
そう言っていると、暴走タクシーから1人の女性が現れた。
?:「え〜と・・・? あんたらかいな、祐一くんとあゆちゃんってのは?」
あゆ:「うん、そーだよ♪ えっと、お姉さんは・・・?」
?:「うちか? うちは神尾晴子や」
晴子:「よろしくな、お2人さん♪」
あゆ:「よろしく♪ 晴子さん♪」
祐一:「・・・まだかなぁ・・・」
あゆ:「祐一くん、もう来てるよ?」
祐一:「・・・遅いなぁ、何やってるんだ、タクシーは・・・」
祐一は目の前のあゆには目もくれず、ただ遠い北海道の山々を眺めていた。
・・・現実逃避である。
あゆ:「祐一くん・・・どこか遠い場所に行っちゃったんだね・・・」
寂しそうに呟くあゆ。
そのあゆの肩に手を掛ける晴子・・・良い光景だ・・・と思うのが普通の見方だろうが、
ここはあゆと晴子、普通ではない。
あゆ:「・・・晴子さん、どうしよう?」
晴子:「ん〜、そやなぁ・・・これでどや?」
そう言って晴子は懐からある物を取り出し、あゆに手渡した。
あゆ:「うぐぅ? これ何?」
あゆは手に持っているそれをしげしげと眺めている。
晴子:「超強力な目覚ましや♪ それで起きんやつはおらへんで♪ ほら、ここのスイッチを・・・」
晴子がスイッチを入れるとそれはバチバチと音を立てて輝きだした。
あゆ:「わ〜、綺麗だね、晴子さんっ」
あゆはその正体が雷に近い物だとは思ってもいず、輝いている電流に触れようとした。
晴子:「あかんっあかんっ!! あゆちゃんが触ったら死んで・・・いや、は、反対に、眠〜なってまうんや。
やから、それは寝てる人に当てるだけにしか使ったらあかんのや」
あゆ:「そ、そうなんだ。 わかった、祐一くんに当てるね」
あゆは晴子の言葉を鵜呑みにし、巷でスタンガンと呼ばれる電流発生器を祐一の横腹に突き立てた。
祐一:「うがっ!?」
あゆの電撃うぐぅタックル
2456のダメージ!!
麻痺の追加効果
祐一のHP、1196
祐一:「う、あ・・・」
祐一は麻痺しているので言葉を発することが出来ない。
あゆ:「やった〜♪ 祐一くんが目を覚ましてくれたよっ、ありがとう、晴子さんっ♪」
晴子:「な、言った通りやったやろ? さて、祐一くんも起きたことやし、出発しよか?」
あゆ:「うんっ♪」
そう言って、あゆはそそくさと暴走タクシーへと乗り込んだ。
祐一:「あ・・・ゆ・・・」
晴子:「さぁ〜、行こか」
晴子はまだ痺れの残っている祐一を後部座席のあゆの横に座らせるとハンドルを握った。
祐一はこの瞬間、この旅行・・・無事では済まないだろうな・・・入院覚悟だ・・・と確信した。
しかし、後にそれは間違いだったと思い知らされることとなる・・・
無事なはずはない・・・入院で済めば良いところだろう。
まだ、Kanon女子軍の恨みは晴れてはいない。
しかも、これからまた増えるというのに・・・
そんなこともつゆ知らず、あゆと(嫌がる)祐一は暴走タクシーにて旅館へと向かうのだった・・・
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