北海道の空港にて
祐一:「ふ〜、やっと到着〜」
そう言って、精一杯伸びをする祐一。
相当機内が退屈だったらしい。
あゆ:「う、うぐぅ・・・やっと着いたよ・・・」
祐一とは対照的に、あゆは今にも倒れそうにフラフラと揺れている。
祐一:「お、おい、あゆ。 ・・・だ、大丈夫・・・か?」
あゆ:「だ、だいじょうぶ・・・」
祐一:「ごめんな。
飛行機に乗ったことないだろうとは思ってたんだけど・・・
まさかあそこまで怖がるとは・・・」
1時間ほど前・・・Kanon空港にて
あゆ:「うぐぅ・・・や、やっぱり乗らなきゃ・・・ダメだよ・・・ね」
あゆは飛行機を目の当たりにしてかなりビクついていた。
祐一:「あゆ? どうしたんだ?」
搭乗手続きを済ました祐一があゆに近づき訊ねてきた。
あゆ:「祐一くん・・・う、ううん! 何でもないよっ!!
早く行こっ!!」
(せっかくの旅行だもん。 こんなことで迷惑掛けたりしちゃいけないよ。)
祐一:「あ、ああ・・・」
そして2人は飛行機へ乗り込んだ・・・
・・・その頃、Kanon空港別所では・・・
真琴:「あう〜」
名雪:「うにゅ〜」
栞:「えう〜」
・・・こちらも初めての飛行機にビクついていた・・・
香里:「はぁ・・・あんた達ねぇ。 揃いも揃って・・・」
そんな3人を見て香里は呆れた顔で呟いた。
美汐:「はいはい、大丈夫だから・・・」
真琴:「あう〜、美汐〜」
美汐は泣きそうな顔をしている真琴を優しく撫でていた。
まるで、母親のような美汐の行為に、真琴は少しずつ落ち着いていった。
美汐もそんな真琴を優しく撫で続けていた。
眼差しはあゆと祐一をしっかりと捉えていたが・・・
一方、名雪と栞は・・・
名雪:「だ、だって飛ぶんだよっ!? 私、鳥さんじゃないよっ!?」
栞:「そ、そうですよっ!? そう言えば、なんでお姉ちゃんは大丈夫なんですかっ!!」
香里:「私は・・・そ、そんなことどうでもいいでしょっ」
(まさか栞が入院してる間に親と楽しく旅行してたなんて言えないわよ・・・)
秋子:「あらあら。 皆さん、祐一さんたち、いっちゃいましたけど・・・?」
美汐&名雪&栞:「!?」
秋子さんが言葉を発した瞬間、少女達は脱兎のごとく秋子さんの手から切符を奪い
飛行機に乗り込んだ。
真琴:「あう〜・・・美汐〜」
真琴は抱き支えてもらっていた美汐がいなくなったので床にコテンと転がっていた。
香里:「・・・さっきまでの文句は何だったのよ・・・」
秋子:「皆さん、元気ですね。 さ、私たちも行きましょうか」
秋子さんはそう言うと、寝ころんだままになっていた真琴を背中に乗せ行ってしまった。
香里:「さてと、私も行かなきゃ・・・って、北川くん何してるのよ?」
北川:「お、俺の台詞が1つもなかった・・・」
北川は空港の隅の方で『の』の字を書いてブツブツと言っていた。
香里:「はいはい、さっさと行くわよ」
香里はそう言っていじけている北川の襟首を掴むと、北川を引きずりながら飛行機へと乗り込んだ。
・・・全員、舞と佐祐理さんのことを忘れているのだが・・・さて、どうなることやら・・・
そして・・・機内にて・・・あゆと祐一は・・・
あゆ:「う、うぐぅ〜!? と、飛んでるよ〜っ!?
落ちるよ〜っ!! 当たるよ〜っ!! ビンラディンだよ〜っ!!」
・・・飛行機に乗ってからずっとこんな調子である
・・・少し古いと思うんだが・・・
祐一:「あゆ・・・少し落ち着いてくれ・・・」
あゆが騒いでるせいで、さっきから視線が集まっていた。
しかし、祐一達の少し後ろであゆ同様、騒いでるものがいたので、そこまで注目されなかったが・・・
あゆ:「うぐぅ〜っ!! うぐぅ〜っ!? うぐぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」
あゆはすでに恐怖が高まりすぎて壊れてしまっていた。
祐一:「・・・はぁ、仕方ない・・・か」
祐一はそう言うと、そっとあゆの顔に触れ唇を合わせた・・・
あゆ:「うぐ・・・!?」
祐一が離れたときには、あゆは先ほどとはうって変わり、耳まで真っ赤になり静かに俯いていた。
そんなあゆがゆっくりと口を開いた。
あゆ:「祐一くん・・・恥ずかしいよ」
祐一:「俺もだ。 でも、これで落ち着いたか?」
あゆ:「・・・うん /// 」
(うぐぅ〜、初めに迷惑掛けないって思ったところだったのに・・・
でも・・・うれしいよ・・・祐一くん・・・」
あゆと祐一はどちらともなく自然と手を握り合い笑い合った。
一方、祐一達の少し後ろの騒がしいメンバーの内・・・
美汐、真琴、秋子さんは・・・
真琴:「あう〜、美汐〜・・・放っていくなんて・・・そんな酷なことはないわよぅ」
美汐:「そ、それは私の台詞ですっ!! 盗らないでくださいっ!!」
美汐は代名詞を盗られ、本気で焦っている。
真琴にはそんな気は全然無かったのだが・・・
真琴:「あう〜、美汐が怒るよ〜・・・秋子さん〜」
秋子:「だめよ、真琴。 人のものを盗ったりしたら」
真琴:「あう〜・・・美汐、ごめんなさい」
シュンとしている真琴を見ると、美汐も少し考える素振りを見せ
美汐:「いいえ、私こそ・・・元はと言えば私が悪いんですから・・・ごめんなさい」
そう言って美汐も頭を下げた。
秋子:「あらあら、これで一件落着かしら・・・?」
真琴&美汐:「うんっ♪(はいっ♪)」
名雪、香里、栞は・・・
栞:「お姉ちゃん〜、怖いですぅ〜」
香里:「はいはい、大丈夫だから・・・」
香里は抱きついてくる栞の頭をゆっくりと撫で落ち着かしていた。
名雪はと言うと・・・
名雪「・・・く〜」
・・・当然、ここでも眠り姫は健在であった。
北川は・・・
北川:「・・・なんで・・・なんでなんだーーーーーーっ!!!!!!」
おやぢに挟まれた間の席で泣き叫んでいた・・・哀れ北川・・・
こんな感じで北海道に上陸したのであった・・・
あゆ:「うぐぅ・・・ごめんね。 迷惑掛けて・・・」
あゆは少し俯き、そう言った。
そんなあゆを見て、祐一は・・・
祐一:「ば〜か、気にするなよ・・・キスも出来たしな♪」
あゆ:「う、うぐぅ!? ゆ、祐一くん!?」
祐一:「さ、行くぞ、あゆ」
あゆ:「・・・うん /// 」
こうして2人は、北海道の地へ降り立った・・・
違うメンバーはと言うと・・・
秋子:「あらあら・・・どうしましょうか?」
香里:「どうって言われても・・・ねぇ」
美汐:「・・・そうですね・・・」
3人は頬に手を添える秋子さんポーズで止まっていた。
それは何故かというと・・・
真琴&名雪&栞:「「「く〜・・・」」」
秋子&香里&美汐:「「「はぁ・・・困りました(ね)」」」
佐祐理:「あはは〜、どうしたんですか〜?」
秋子:「あら? 佐祐理・・・さん・・・?」
舞:「・・・私もいる」
香里:「川澄先輩!? 2人とも・・・そう言えば飛行機に乗ってませんでしたよね!?」
佐祐理:「はい♪ 倉田家の自家用機で来ましたから♪」
美汐:「さすがですね・・・」
佐祐理:「あはは〜、そうでもないですよ〜。
あ、そうだ。 あちらにバスを用意してますので皆さん乗って下さい〜」
秋子:「あらあら、ちょうど良かったわ。 それじゃあ、この子達を運びましょうか」
佐祐理:「こっちですよ〜」
そう言って、秋子さんは名雪と真琴の2人を担いで佐祐理さんについていった。
香里:「・・・秋子さんって」
舞:「・・・あの人・・・出来る」
そう言うなり、舞も栞を持ち上げ、歩き出した。
香里&美汐「・・・」
美汐:「・・・いきましょう」
香里:「・・・そうね・・・あら? 北川くん?」
北川は空港のときと同じく『の』の字を書いていた・・・
香里:「はぁ・・・行くわよ」
北川:「ううっ・・・俺なんか・・・俺なんかっ!!」
そう言う北川を引きずり、香里と美汐はバスに乗った。
・・・バスも倉田家の物だった。
まだまだ、旅は始まったばかり・・・騒動はまだまだ続く・・・
感想はこちら