北川:「・・・はぁ、なんだって俺がこんなにも損をしなくちゃいけないんだ・・・ついてない・・・」

 1人、部屋でぶつぶつと不平を漏らす北川・・・

 しかし、絶世の美女に囲まれて旅行が出来るだけでも十分についてると思うのだが・・・

北川:「・・・はぁぁああぁぁぁ・・・」

 一際大きなため息を吐いたとき、幸か不幸か、北川は壁に出来ている小さな穴を見つけた。

北川:「・・・これはもしかするともしかするんではないんでないですか、社長〜」

 ぐへへへへと北川は妖しい笑みを顔いっぱいに広げ、片目で穴を覗き込んだ。

北川:「おおっ!! ・・・これは」

 

真琴:「もぐもぐ・・・」

美汐:「・・・」

名雪:「わっ、すごいね〜」

秋子:「あらあら、すごいわね」

 ここはAIR旅館の1室・・・名を『春の丘の溶けることのない雪』という

 今、この部屋で凄いことが起こっていた。

真琴:「おかわりっ♪」

美汐:「・・・18皿目・・・」

 美汐は真琴の前に積まれている肉まんの乗っていたはずの皿を数え、驚いたような呆れたような顔をしている。

名雪:「私も負けてられないよ〜」

 名雪もそう言うなり、目の前の肉まんと同じぐらいの大きさのイチゴ大福に手を伸ばした。

 ・・・かく言う名雪も、すでに13皿目である。

秋子:「名雪、がんばるわね」

 秋子さんは美汐と共に、部屋に備え付けてあった番茶を啜っていた。

美汐:「・・・ちょっと食べ過ぎではないでしょうか・・・?」

秋子:「これくらい元気があったほうが母親としては安心ですよ」

美汐:「・・・そうでしょうか・・・」

秋子:「そうですよ。 美汐ちゃんも食べます?」

 そう言う秋子さんの手には煎餅の袋があった。

美汐:「・・・いただきます」

 美汐は煎餅を一枚取り出すと、秋子さんとともにぱりぽりと囓りだした。

 

 隣の自室から部屋を覗いていた北川はそんな様子を見てついポツリと呟いてしまった。

北川:「・・・太るぞ」

 

 真琴はそんな声も聞こえず、22皿目を完食したところだ。

 なおも観鈴におかわりを頼み続けている。

 だが、その声を聞いた(北川はほとんど声には出していなかったのだが)秋子さん、美汐、名雪の手はぴたりと止まった。

美汐:「命が惜しくないんでしょうか・・・」

 美汐は番茶を手にそう言って立ち上がる。

名雪:「言って良いことと悪いことがあるんだよ〜・・・」

 名雪もイチゴ大福を手に立ち上がる。

秋子:「あらあら、これは了承できないわね・・・」

 そう言って、秋子さんの手にはいつの間にやらあのジャムが・・・

名雪&秋子&美汐:「これを食べて(飲んで)いただきましょうか(もらうよ〜)・・・」

 後日、このときの様子を部外者M.Sに訊ねると・・・

M.S:「あ、あう〜・・・殺されるかと思った・・・何せ、あのジャ・・・うう、こ、これ以上は言えないわよ〜」

 ・・・と言い残して逃走してしまった。

 発見されたのはそれから一週間後であった・・・

 

北川:「・・・殺されるっ!!」

 番茶とイチゴ大福はどうと言うことはないだろうが、秋子さんのジャムはすでにKanon軍全員、

 水瀬家を訪れたときに被害にあい、その恐ろしさはその身に染みている。

 北川はその場を離れようと後ろを向くとそこには、頬に手を当てたいつものポーズの秋子さん・・・

 空いた手にはあのジャムが・・・

北川:「う、うわあぁぁーっ!!」

 北川はドアの方へ向かって一心不乱にダッシュっ!!

 だが、そこには名雪が立ちふさがっていた。

 手にはイチゴ大福が乗っている。

北川:「ふ、それしきの物、とっとと喰・・・いいっ!?」

 北川に9999のダメージ!!

 名雪の持っていたイチゴ大福の1つ(全部で10以上はあった)を掴み、口に入れたところで、

 北川は意識が飛びそうになるのを押さえなければならなかった。

 やっぱりイチゴ大福の中にジャムが・・・

 さしずめジャム大福・・・普通のイチゴジャムならおいしそうかも♪

 だが、ここは秋子さん特製ジャム・・・破壊力は抜群だ。 

北川:「こ、この程度で死には・・・せんっ!!」

 GUT発動

 北川HP1

 何とか持ちこたえると、北川は窓へとダッシュっ!!

 この部屋は二階だが、北川は飛び降りた方がダメージは低いと考えたのだ。

北川:「うりゃああぁぁああっ!!・・・ええっ!?」

 飛び降りた北川が衝撃に備え目をつぶっていると、地面の固い衝撃ではなく、何か別の柔らかい物体の感触がした。

 頭までその物体に飲み込まれた北川は、とりあえずそこからの脱出を試みた。

 だが、その物体は底なし沼のように、北川が藻掻けば藻掻くほど、北川の体はどんどん沈んでいく。

北川:「・・・どうするか・・・」

 北川は声を出せることには疑問を抱かなかったが、その物体が口の中に少し入った瞬間にその物体が何であるかが分かった

 北川に9999のダメージ!! 

 ・・・いや、分かる前に死亡してしまったのだが。

北川:「う・・・ま・・・まだ・・・だ・・・」

 GUT発動

 北川HP1

 いや・・・なかなかしぶとい。

 北川が意識を取り戻し、周りを見まわすと壁はごつごつとして登りやすそうだった

 ・・・が、上を見上げると、秋子さん、名雪、美汐が笑顔であのジャム関係品を持っていた。

 (美汐の装備品は、今北川が入っている超巨大ジャム茶なので何も持っていないが)

 北川は考えた。

北川:(周りはあのジャム・・・上に上がったとしても、ジャム攻撃・・・ならばっ!!)

 北川はそこまで考えると、突然拳を前に出し叫んだ。

北川:「ファースト・ブリッドーっ!!」

 ・・・声は一緒なんですが・・・

 ま、まあ、壊そうという結論に至ったようだ。

 そして・・・なんと、砕けたっ!!

 北川の拳が・・・

北川:「うごおおおぉぉぁぁぁぁぁあああぁぁあぁっ!!??」

 そして北川はそのままジャムの中で気を失った・・・

 がんばれ北川、負けるな北川!!

 次は香里と舞だっ!! 死なないように気をつけろっ!!

 次回、北川死亡・・・はしないだろう・・・たぶん

 

 

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